オルガネット(ポルタティーフ・オルガン)

InstORGイタリア語で「小さなオルガン」という意味の「オルガネット」は、ふいごを左腕でこぎながら風圧をかけて発音させるオルガンです。このようにアコーディオンのごとく奏者自身でふいごを操作するスタイルの15世紀頃までの時代から、徐々にオルガンは大型に発展します。大きなふいごをこぐ「ふいご職人」のように、演奏者とは別の人間による協力を得て演奏可能になり、現代でも教会やコンサートホールなどに設置されるような超大型のパイプ・オルガンが発明されていきます。ちなみに現代では、電気の発明により「ふいご職人」がいなくても常に一定の風を送り続けられるモーターによって発音します。しかし、このふいご操作は単に風を送るだけでなく、その風圧のかけ方によっても様々なニュアンス表現可能なのです。つまりこの小さなオルガネットは、音の強弱、またアタックなど奏者自身によって自由自在に演奏できるのです。
このパイプは鉛ですが、17世紀ごろまでのイタリアのオルガンに使用される鉛のパイプは、どこか神秘的で地声のように深い音色です。中世やルネサンス期、フラ・アンジェリコやファン・エイクなどオルガネットを奏する天使が描かれたた絵画は多く、神への言葉、天に通じる祈りの象徴の楽器のひとつだったようです。